

ブランドロゴを刷新した。営業資料を一新した。
でも現場からはこんな声が聞こえてくる。
「使いどころが分からない」
「資料が長すぎて、結局前のを使ってる」
「ロゴはかっこいいけど、なんか他人事みたい」
見た目の完成度は高いのに、現場や顧客の行動につながらない。
この「デザインの空回り」は、なぜ起きてしまうのでしょうか?
ロゴや資料などのアウトプットは、単体で“完成”するものではありません。
それらは「使う人」と「使う場面」によって“機能するかどうか”が決まるからです。
たとえば──
デザイン要素 | 本来の目的 | 実際に起きたギャップ |
|---|---|---|
ロゴ | ブランド認知の核 | 現場が用途を理解できず使用せず |
営業資料 | 商談をスムーズに進めるため | 情報が多すぎて使いづらい |
サービス紹介ページ | 顧客の理解を促進しCVに導く | 専門用語が多く離脱率が高い |
このようなギャップは、“ユーザー視点の欠如”と“実装設計のズレ”から生まれます。
McKinseyが2018年に行った「The Business Value of Design」調査でも、「優れたデザインを行う企業」の共通点として次の要素が挙げられています:
McKinsey(マッキンゼー)は、正式には McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー) といい、世界最大級の経営コンサルティング会社です。
“User Experience” を経営判断の中核に据えている。
デザインが成功するか否かは、「ユーザーが実際にどう使うか」を起点に設計されているかどうかで決まる。
つまり、“デザインの善し悪し”を決めるのは、制作側ではなく、使う側・受け取る側です。
ある中堅企業が、CI(コーポレートアイデンティティ)を刷新し、洗練されたロゴを新調しました。しかし、半年後の社内アンケートでは、使用率はわずか30%。
その理由は:
ロゴの使用ルール(ガイドライン)が複雑すぎた
名刺やスライドテンプレートが未対応で現場に届いていなかった
「何のための刷新か」が社内に伝わっていなかった
ロゴ自体は優れていても、“誰が・いつ・どのように使うか”まで設計されていなかったため、定着しなかったのです。
アウトプットを考えるときには、まず以下のような問いから入ると効果的です:
このデザインは、誰がどんなタイミングで使うか?
何秒以内に、何を伝えたいか?
使う人の知識・スキル・心理状態はどうか?
これらを洗い出すことで、デザインが現実の行動に“接続”される設計になります。
提案や納品で終わるのではなく、「どのように現場に落とし込まれるか」まで見据えた計画が重要です。
テンプレートの提供
運用マニュアルやFAQの整備
社内説明会やキックオフの設計
利用者からのフィードバックループの構築
“実装設計”もデザインの一部であるという意識を持つことで、使われる成果物が生まれます。
「これは、誰のためのデザインか?」
「これは、どんな行動を引き出したいのか?」
この2つの問いを常に意識することが、経営に効く“実装されるデザイン”を生み出します。
どれだけ美しくても、行動につながらなければ、それは“デザイン”ではなく“アート”になってしまうのです。