“使われないロゴ”と“読まれない資料”の共通点 〜なぜ“いいデザイン”が行動につながらないのか?〜

■ 「いいと思ったのに、使われない」の違和感

ブランドロゴを刷新した。営業資料を一新した。
でも現場からはこんな声が聞こえてくる。

「使いどころが分からない」
「資料が長すぎて、結局前のを使ってる」
「ロゴはかっこいいけど、なんか他人事みたい」

見た目の完成度は高いのに、現場や顧客の行動につながらない。
この「デザインの空回り」は、なぜ起きてしまうのでしょうか?


■ 問題は「使われる状況」を想定していないこと

ロゴや資料などのアウトプットは、単体で“完成”するものではありません。
それらは「使う人」と「使う場面」によって“機能するかどうか”が決まるからです。

たとえば──

デザイン要素

本来の目的

実際に起きたギャップ

ロゴ

ブランド認知の核

現場が用途を理解できず使用せず

営業資料

商談をスムーズに進めるため

情報が多すぎて使いづらい

サービス紹介ページ

顧客の理解を促進しCVに導く

専門用語が多く離脱率が高い

このようなギャップは、“ユーザー視点の欠如”と“実装設計のズレ”から生まれます。


■ 重要なのは「ユーザー行動と接続されたデザイン」

McKinseyが2018年に行った「The Business Value of Design」調査でも、「優れたデザインを行う企業」の共通点として次の要素が挙げられています:

McKinsey(マッキンゼー)は、正式には McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー) といい、世界最大級の経営コンサルティング会社です。

“User Experience” を経営判断の中核に据えている。
デザインが成功するか否かは、「ユーザーが実際にどう使うか」を起点に設計されているかどうかで決まる。

つまり、“デザインの善し悪し”を決めるのは、制作側ではなく、使う側・受け取る側です。


■ ケーススタディ:ロゴ刷新が社内に浸透しなかった企業

ある中堅企業が、CI(コーポレートアイデンティティ)を刷新し、洗練されたロゴを新調しました。しかし、半年後の社内アンケートでは、使用率はわずか30%。
その理由は:

  • ロゴの使用ルール(ガイドライン)が複雑すぎた

  • 名刺やスライドテンプレートが未対応で現場に届いていなかった

  • 「何のための刷新か」が社内に伝わっていなかった

ロゴ自体は優れていても、“誰が・いつ・どのように使うか”まで設計されていなかったため、定着しなかったのです。


■ 解決策①:「使う場面」から逆算してデザインする

アウトプットを考えるときには、まず以下のような問いから入ると効果的です:

  • このデザインは、誰がどんなタイミングで使うか?

  • 何秒以内に、何を伝えたいか?

  • 使う人の知識・スキル・心理状態はどうか?

これらを洗い出すことで、デザインが現実の行動に“接続”される設計になります。


■ 解決策②:「導入・運用まで」を含めてデザインする

提案や納品で終わるのではなく、「どのように現場に落とし込まれるか」まで見据えた計画が重要です。

  • テンプレートの提供

  • 運用マニュアルやFAQの整備

  • 社内説明会やキックオフの設計

  • 利用者からのフィードバックループの構築

“実装設計”もデザインの一部であるという意識を持つことで、使われる成果物が生まれます。


■ まとめ:行動につながるデザインは「使う人を主語」にする

「これは、誰のためのデザインか?」
「これは、どんな行動を引き出したいのか?」

この2つの問いを常に意識することが、経営に効く“実装されるデザイン”を生み出します。
どれだけ美しくても、行動につながらなければ、それは“デザイン”ではなく“アート”になってしまうのです。

ホームデザイン筋トレ

“使われないロゴ”と“読まれない資料”の共通点 〜なぜ“いいデザイン”が行動につながらないのか?〜