


自社会社案内兼ポートフォリオを制作しました。
「何ができるか」ではなく「どう考えるか」を伝える構成で、
正方形コンパクト版とA4横拡張版の2種を設計。
紙・余白・言葉の温度まで含め、自社の思考プロセスを体現しました。



一般的な会社案内は、
「何ができるか」
「どんなサービスがあるか」を並べることが多い。
しかし私たちが伝えたかったのは、
何を大切にし、どんな思考で仕事をしているかでした。
名刺代わりに手渡しでき、会話のきっかけになる設計。


初回に制作した会社案内は、正方形のコンパクトサイズ。
あえて一般的なA4ではなく、手のひらに収まるスクエアタイプで進めました。
理由は明確です。
この冊子は「読まれる資料」ではなく、
“会話が始まる道具” であるべきだと考えたからです。
名刺交換のあと、少し言葉が途切れる瞬間。
そのときに、すっと手渡せるサイズ感。
「なんだこれは?」と自然に視線が集まり、
「ちょっと開いてみますね」から会話が生まれる。
正方形という違和感は、
無意識の注意を引き寄せる小さな仕掛けです。
人は“見慣れない形”に一度立ち止まる。
その一拍が、関係性をつくる余白になります。
内容もまた、サービス紹介がメインではなく、
・仕事の向き合い方
・思考や大切にしていること
・プロセスや制作の背景
といった“思考の断片”を編む構成にしました。
つまりこの冊子は、
会社案内というより、思考のサンプル。
手に取った相手が、
「この会社は、こうやって考えるんだ」
と、まだ依頼していない未来のプロジェクトを
頭の中で仮想体験できるよう設計しています。
小さいからこそ、軽やかに渡せる。
軽やかだからこそ、深い話が始まる。
正方形の一冊は、
私たちにとって“最初の打ち合わせの入口”です。


次に制作したのは、A4横仕上がりの拡張版。
正方形のコンパクト版が“出会いのきっかけ”だとすれば、
こちらは 対話を深めるための一冊 です。


打ち合わせのテーブルに広げたとき、ページが横に伸び、視線が自然と流れる。その動き自体が、「一緒に考える時間」をつくる設計になっています。
拡張版では、実績を網羅的に並べることよりも、“何を軸に判断している会社か” を伝えることを優先しました。
課題分析のフレームワークや、コンセプト開発の手順を詳細に解説することは、あえてしていません。それらは、プロジェクトごとに変わる“生きた思考”であり、テンプレート化して語れるものではないからです。
代わりにこの冊子では、
私たちが大切にしている視点、
仕事に向き合う姿勢、
言葉とデザインの距離感、
そして「ちょうどいい温度」を探る態度を、
文章とビジュアルのトーンで伝えることに集中しました。
完成形の背後にある、“考え方の気配”を感じてもらう。それがこの拡張版の役割です。詳しい方法論は、実際のプロジェクトの中で、対話を通じて一緒に立ち上げていく。
また、A4横というフォーマットは、
図や写真、言葉の関係性を一望できる。
プロジェクトの全体像を俯瞰しながら、
細部へ視点を移動できる構造です。

この一冊を通して伝えたいのは、
「この会社に頼んだら、どんなやり取りになるのか」という感覚です。
立派な提案書でも、
完成作品を並べた作品集でもありません。
打ち合わせのテーブルに置いて、
ページをめくりながら
「こういう考え方なんですね」
「ここは一緒に悩みたいですね」
そんな会話が自然に生まれることを想定しています。
正方形のコンパクト版が、
名刺交換のあとに渡す“きっかけ”だとしたら、
A4横の拡張版は、
腰を据えて話すための“道具”です。
特別な演出より、
ちゃんと向き合える空気をつくること。
この冊子は、そのためにあります。
「こんなことができます」ではなく、
「こんなふうに考えます」。
この順番こそが、
プロジェクトの結果を左右すると信じています。

紙の質感、余白の設計、言葉の温度。
手に取った瞬間から、私たちの仕事の進め方が伝わるようにデザインしています。

会社案内は、単なる紹介資料ではなく、未来のクライアントとの最初の打ち合わせ。その位置づけで設計した、自社ブランドの原点となるプロジェクトです。


会社案内は、完成した瞬間より、
手渡したときに本当の役割を持ちはじめます。
会社案内を変えると、
営業資料が変わります。
営業資料が変わると、
出会う相手が少しずつ変わります。
次に誰かへ渡す一冊が、
より自分たちらしいものになるように。
そのお手伝いができたら嬉しく思います。
クリエイティブディレクター:折尾祐希
コピーライター:折尾祐希
デザイナー:折尾祐希
イラストレーター:大原麗加
フォトグラファー:村田有花